英文契約書とは?基本構造と和文との違い
更新日:7月8日

外国人雇用や外国の会社との取引で必要となるのが英文契約書です。英文契約書は英語の意味を理解できるだけでは不十分で、そのニュアンスまで理解しないと、不利な契約を結んでしまうおそれがあります。英文契約書とは?上手に契約するコツは?など、AI翻訳との関連も含めて解説します。
契約書については、「契約書作成・チェックのポイント|行政書士に依頼するメリットと費用相場」でも詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
英文契約書とは
英文契約書は、当事者の「権利・義務・責任範囲」を明確にするために作成される法的文書です。大事なポイントは、単語や表現の違いで責任ががらりと変わってしまうということ。誤解したまま、あるいは見過ごしたまま契約してしまうと、あとで不利となってしまう恐れがあります。ただ読むのではなく、正確に解釈・翻訳することが大切です。
英文契約書の基本構造
英文契約書は以下の構造で形成されます。
Title(契約書の名称)
契約書のタイトルです。「業務委託契約書(Service Agreement)」など。
Preamble(前文)
当事者、契約の背景を定義します。
Definitions(定義条項)
用語の意味を固定します。
Operative Clauses(契約条項)
権利・義務・条件を定義します。契約書の本丸です。
General Provisions(一般条項)
準拠法や紛争解決の方法を定義します。
Execution(署名欄)
両者の署名をします。
英文契約書は一見構造がシンプルに見えますが、実際には表現ひとつで意味が変化します。正確な理解には専門的な翻訳・解釈が不可欠です。
和文契約書との違い
英文契約書は細かなところまで具体的に定義されています。解釈の余地(紛争の元)となる要素が無い構造となっています。一見同じような意味に思えても、英文契約書の場合、日本語と責任範囲が異なる場合があります。日本語の感覚で読むと、意図しない意味で誤解してしまうおそれがあるので要注意です。「なんとなく理解」は通用しない世界です。
よくある誤訳・読み間違い
具体例を挙げましょう。以下のような点が誤解を生みやすいです。
including but not limited to
単なる例示なのに限定と勘違いしやすい
shall/may
義務(shall)か任意(may)かで意味が大きく変わる
indemnify
損害補償の範囲を定義。想定以上の損害賠償責任を負う可能性あり
翻訳や解釈のわずかなずれが、そのまま契約上のリスクにつながります。正確に理解しているつもりでも、実際には重要なポイントを見逃しているケースは少なくありません。
契約書のチェックポイントについては、「その英文契約書、本当に大丈夫?チェックポイントと重大リスク条項を解説」でも詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
AI翻訳では対応できない理由
英文契約書は文脈によって意味が変わります。同じ単語でも、条項や定義次第で解釈が異なってきます。
AI翻訳は一見自然に訳出しますが、実務上は誤りになることがあります。また、文と文との関連性も理解しません。このことにより、契約上は重大なリスクを含む可能性があります。単なる直訳ではなく、「法的にどういう意味を持つのか」まで理解することが重要です。
AI翻訳あるある①損害賠償の範囲が無限に広がる!
このような原文があったとします。
The Supplier shall indemnify and hold harmless the Buyer from any claims arising from the Products.
AI翻訳:
供給者は製品に起因する請求について買主に補償します。
一見正しいですが、hold harmlessのニュアンスが消えています。このフレーズの意味するところは、「第三者からの請求も含めて買主に不利益が及ばないように広く補償する」ということです。せいぜい製品の不具合の補償くらいかなと思っていたら、とんでもない金額を請求されてしまう恐れがあります。そして契約書でそうなっているので、拒否ができません。
AI翻訳あるある②絶対支払わないといけないわけ!?
このような原文があったとします。
The Buyer shall pay the fee unless otherwise agreed in writing.
AI翻訳:
書面で別途合意がない限り、買主は支払わないといけない。
「別途合意がない限り」というのは非常に限定された場合のみ適用というイメージがあります。しかし実際には、こう書かれていたら、別途合意でどうにでも変えられるということを意味します。shallは義務を表しますが、この場合、実質的には弱い義務です。AI翻訳では、こういう「効きの強さ」まで判定してくれません。
英文契約書は専門家に依頼すべき理由
英文契約書を専門家に依頼するメリットとして、契約内容を正確に理解できるという点があります。相手方との認識のずれを防げるので、トラブル回避に役立ちます。英文契約書の翻訳・チェックはコストではなく、リスクを防ぐための投資です。重要な契約ほど、専門家による正確な翻訳・チェックを行うことをおすすめします。
英文契約書の翻訳・チェックはお任せください
当方では翻訳者として、以下の業務を行っております。
・各種英文契約書の翻訳(雇用契約書、業務委託契約書、売買契約書など)
・英文契約書のチェック・リスク確認
・和文契約書の英訳対応
単なる直訳ではなく、法的ニュアンスを踏まえた翻訳を行います。リスクや意味のずれ、相互の関連性も加味して条項の意味を正確に整理し、実務で使いやすい形に整えるサポートを行っています。和文契約書の翻訳では、実務で使えるレベルの自然な英文で作成します。
英文契約書の内容確認、翻訳で不安がある場合は、専門的な視点での翻訳・チェックを承ります。お気軽にご相談ください。



