翻訳だけでは見抜けない――英語を読むときに役立つライターの嗅覚

私がこれまでにいただいた、翻訳者&ライターのお仕事の詳細をご紹介していきます。
ほかの翻訳者&ライターのお仕事については、以下を参照してください。
翻訳者とライター、両方できたから外資系大企業の仕事を任された話
翻訳だけでは終わらない。翻訳者とライターの両方ができるメリットとは
英語の一次情報を読めるライターが強い理由|外資系案件で気づいたこと
英語のスピーチは翻訳だけでは記事にならない|外資系企業のイベント記事を作成した流れ
翻訳者&ライターとして担当したe-bookの仕事
こちらも今までと同じく外資系大企業なのですが、基本的に私がいただくお仕事はだいたい外資系大企業からのものなので、以降は、いちいち書くことはやめます。こう書くと、自慢しているように見えるかもしれませんが、全く自慢ではありません。翻訳業界はそういう仕組みになっているのです。他の翻訳者の方も、私と同じような状況だと思います。
さて、お仕事の話に戻ります。コンテンツは、その企業が発行しているビジネス書。内容はかなり専門的です。例えば、鉱山業界とかヘルスケア業界とか、特定の業界への投資を考えている投資会社の社員が、情報収集のために読むような内容です。紙ではなくe-bookでした。業務の流れは以下のようになります。
ネイティブスピーカーが英語でコンテンツを書く
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翻訳者が和訳する
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翻訳者&ライター(私)がプルーフリードする
私の仕事は最終段階、総仕上げです。実を言うと、この仕事は好きでした。私は何かをゼロから作り出すよりも、誰かの書いた文章を直すほうが性に合っています。だから、翻訳で言うところのチェックも結構好きです。ただし単価が低いので、どちらか選べと言われたら翻訳を選ぶと思いますが・・・
翻訳後の文章は「読める」と「読ませる」が違う
依頼時に、すでに現地で発行されている英語のビジネス書のPDFと、翻訳者の和訳(チェッカー校正済み)が送られてきます。翻訳者の和訳は、すでにチェッカーが直しているので、誤訳はないという前提です。しかし、誤訳はないものの、文章が生硬だったりして、読み物とするには難しいところがあります。これは、翻訳者自身、あるいはチェッカー自身の作業品質とはまったく関係ありません。翻訳にもチェッカーにも、自身の作業にこの要素は求められていないためです。翻訳者とチェッカーのすることは、原文に対し正確な訳をすること。それ以上でもそれ以下でもありません。
そこで、私がその訳文をプルーフリードして、読み物にしていきます。誤訳はないという前提なので、いちいち原文と突き合わせることはしません。訳文を読んで、これはこう変えたほうが読みやすくなるな、と思うところを書き直していきます。
意味が通らない箇所は原文を確認する
しかし、読んでいくうち、「ん?これどういう意味?」と思う箇所が、必ず出てきます。前後の内容から、意味が取れないのです。
翻訳自体は合っています。英語を日本語にひっくり返すことはできています。ただ、記述者の意図を読み取れていないため、言わんとするところが訳出できていないのです。
そういうときは、原文の該当箇所を確認します。すると、執筆者の意図がすとんと入ってきます。「ああ、こういうことを言いたかったのか」と理解できます。そこで、その内容を踏まえた文章に書き直します。
英語を読むときに役立つライターの嗅覚
この違和感は、同じライターだからこそ感じ取れるものです。ですから、ライターとしての嗅覚を使って判断していきます。この作業をしているとき、文章を書くという作業には国境がないということをつくづく感じます。使用する言語は違います。しかし、行動パターン、思考パターンというのは、国籍が違ってもだいたい世界共通なのです。
翻訳者&ライターだからできること
この作業をまとめると、
①日本語の訳文を読んで読み物になるように加筆
→ライターのスキル
②意味が通らないところは原文を確認
→翻訳者のスキル
③記述者の意図をくみ取って原稿に反映する
→翻訳者&ライターのスキル
という流れになります。
このタイプの原稿作成で重要な、③の作業は、翻訳者&ライターでないとできないということになります。
契約書の翻訳でもライターの嗅覚は呼び起こされる
ライターとしての嗅覚は、契約書を翻訳するときにも生きています。例えば、契約書の翻訳。英文契約書は権利関係(損害賠償条項など)の幅が広く設定されていることが多いため、日本の契約者は、知らず無限のリスクを抱えてしまうリスクがあります。私は、契約書の翻訳の依頼をされたら、この条項を省くことはできませんが、ここが問題だということは見抜けます。そして、依頼者にそのリスクを伝えることができます。
英文契約書の基本についてはこちら
英文契約書とは?基本構造と和文との違い
英文契約書の条項と単語の性質についてはこちら
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