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英語のスピーチは翻訳だけでは記事にならない|外資系企業のイベント記事を作成した流れ

2022年2月10日
読了時間: 5分
スピーチする白人

私がこれまでにいただいた、翻訳者&ライターのお仕事の詳細をご紹介していきます。


今回ご依頼いただいた仕事


こちらも、エンドクライアントは外資系大企業でした。


ほかの翻訳者&ライターのお仕事についてはこちら

翻訳者とライター、両方できたから外資系大企業の仕事を任された話

翻訳だけでは終わらない。翻訳者とライターの両方ができるメリットとは

英語の一次情報を読めるライターが強い理由|外資系案件で気づいたこと


今回は、オウンドメディアに載せる記事を作成します。その企業が行ったトークイベントの内容をまとめて記事にします。


まずは英語のYouTube動画を視聴


その模様をYouTubeに投稿しているので、視聴して、記事作成してほしいとのこと。YouTubeのリンクを渡されました。動画の長さは1時間くらいです。


依頼された私は、まずYouTubeの動画を視聴しました。ネイティブスピーカー同士の歯切れのいい会話がポンポンと飛び交います。内容も、けっこう専門的だなと感じました。


ちなみに私は、英語はとりあえず聞き取れますが、通訳者さん並みのクオリティではありません。このため、聞き漏れがあっては困るので、テープ起こしの提供をお願いしました。ちなみにYouTubeの動画も、テープ起こしも、すべて英語です。動画に日本語字幕はありません。


英文テープ起こしを読む


いただいたテープ起こしの長いこと、長いこと。私は仕事でテープ起こしもするのでよくわかりますが、テープ起こしは長いです。1時間程度のテープ起こしでも1万文字はあります。Wordにすると15ページくらい。英語の場合は少なくて5000 words程度ですが、それでも短くありません。自慢じゃないですが、私は生まれたときから日本育ちです。海外で生活したことはありません。ですから、英語を読むときはそれなりの気力・体力がいります。それが5000 wordsですから、その苦労はおわかりいただけると思います。


翻訳ではなく「記事化」を意識して内容を整理


それでも依頼されたので、やらないわけにはいきません。YouTube動画の視聴が終わると、テープ起こしをまずざっと読んで、「ここは記事に使えそうだな」と思う箇所の訳文には、黄色でマーカーを入れておきました。次にTradosを使って翻訳しました。ただし、一字一句の翻訳ではありません。まとめ記事にするので、話した内容すべては使わないからです。原文を読みながら、使えそうなところだけピックアップし、さらにあとから使いやすいように、マーケティングに適した文章で訳しました。意訳中の意訳です。普通の翻訳でこれをやったら、お客さんにぜったい怒られます。でも、これは翻訳ではありません。だから問題ありません!


ライターの取材記事作成と同じ考え方


こうして訳し終わると、マーケティングに適した記事素材ができあがります。


私はライターとして取材記事を作成するとき、まず取材時に録音した音声を聞きながら、言ったことをわかりやすくまとめつつ、必要なところに黄色マーカーを入れたテープ起こしを作成します。これがあると、記事に使えるところが一目でわかるし、全体像も把握できるので便利です。先ほどの訳した文章も、これと同じものになりました。これを使って、記事に仕上げていきます。


動画を再確認して内容のズレを修正


最後にもう一度、YouTubeを聞いてみて、原稿の内容と齟齬がないかを確認します。齟齬があれば適宜修正します。


けっこうあるんですよね、これが。テキストにすると、喋ったときのニュアンスが失われてしまうことが多いからです。英語スピーチのテープ起こしを翻訳したものだけを使って原稿をつくろうとしても、スピーカーの意図とは違うものとなってしまうことがあるので要注意です。修正が終わったら、完了です。


この仕事で必要だった6つの工程


この作業をまとめると、


①YouTube動画を視聴

→翻訳者のスキル


②原文(テープ起こし)を読んで使えそうなところに黄色マーカー

→翻訳者&ライターのスキル


③テープ起こしを翻訳

→翻訳者のスキル


④翻訳しながら適宜マーケティングに適した文章にする

→翻訳者&ライターのスキル


⑤仕上がった日本語の文章をもとに記事作成

→ライターのスキル


⑥YouTube動画をもう一度視聴して原稿との齟齬がないか確認・修正

→翻訳者&ライターのスキル


という流れになります。


翻訳者だけでもライターだけでも難しい理由


このタイプの原稿作成で重要な、②④⑥の作業は、翻訳者&ライターでないとできないということになります。その理由は、英語が読めるか読めないか。そして、うまい文章をつくれるかつくれないかです。英語が読めないと、YouTubeを見ても英語が理解できないですし、テープ起こしを読んでも意味がわかりません。ですから何もできません。うまい文章をつくれないと、動画を見て、テープ起こしを訳したとしても、商品として使える文章になりません。


まとめ|翻訳とライティングの両方が必要だった案件


先述の通り、このお仕事は、翻訳者のスキルだけでも、ライターのスキルだけでもできない仕事です。このような仕事は存在します。そして通常、依頼者はまず翻訳者に依頼して訳出してもらい、次にライターに依頼して記事にまとめてもらいます。私の場合、両方ができるので、一度の依頼で記事完成まで行うことができます。手間とコストがかからないので、ご依頼がきたものと思われます。


こうして培ったスキルは、現在の仕事にも生きています。例えば、契約書の翻訳。英文契約書は権利関係(損害賠償条項など)の幅が広く設定されていることが多いため、日本の契約者は、知らず無限のリスクを抱えてしまうリスクがあります。契約書の翻訳の依頼をされたら、この条項を省くことはできませんが、ここが問題だということは見抜けます。そして、依頼者にそのリスクを伝えることができます。


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